アセット管理シェル vs. Predix

アセット管理シェルとは、ドイツの Industrie 4.0 推進組織である Plattform Industrie 4.0 (https://www.plattform-i40.de/IP/Navigation/EN/Home/home.html) が提供しようとしている、インダストリー4.0 の世界を実現するためのインターフェイスを目的とした、標準プラットフォームである。

Plattform Industrie 4.0 とは、そのホームページによれば「Plattform Industrie 4.0 は、製造業のデジタルトランスフォーメーションを形成しています。ドイツ発のネットワークとして、私たちは変化を具体化し、技術的な基盤を構築します。Manufacturing-X は、製造業のサプライチェーンのデジタル化に貢献します。」となっている。

日本のロボット革命・産業IoTイニシャティブ協議会(RRI)(https://www.jmfrri.gr.jp/index.html)は随分と早くから、このアセット管理シェルについてその概要を和文にて公開(https://www.jmfrri.gr.jp/content/files/Open/2018/20180920_AdShell/Report_AdministrationShell.pdf)しているが、最新の情報ではないことに注意されたい。例えば、今ではアセットとして有形資産のみならず、特許、ソフトウェア、ノウハウなどの無形資産もその管理範疇に入っている。

一方、Predixとは、もともとはGEによって開発された産業IoT用プラットフォームで、今ではこれをGEも参画するインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)(https://www.iiconsortium.org/) が世界のデファクト・スタンダードとして広めようとしている。

民間同志の話とすれば、ドイツはシーメンスの MindSphere vs. アメリカGEの Prefix ということになるのかもしれないが(あるいは SAP vs. Prefix) 、GEのDXをメインにした経営戦略は失敗したようだし、SAPも最近現場近くからは、あまりよい話が聞こえてこない。SAP がIoTあるいはアセット管理シェルにどうかかわろうとしているのかは不明である。そういう意味ではシーメンスの MindSphere とアセット管理シェルとの関係も不明である。SAP にせよ MindSphere にせよ、これまでは囲い込み戦略が基本であるのに、オープンと標準化をゴールとするアセット管理シェルについてはためらっているのだろうか?

日本の民間(例えば日立、東芝、富士通)はあっちについたり、こっちについたりして、当面両睨みでいくしかないのかもしれないが、デファクトでもデジュールでもよいが、是非、囲い込みを排して、スタンダードのために力をつくしてほしいものだ。