製造業におけるデータスペースとは、Catena-X に代表されるような異企業や異業種間で共有されるようなデータ共有圏のことをいうらしい。これはドイツ発祥の Industrie 4.0に引きずられた定義である。もともと米国などでは大企業(エンタープライズ)のなかの多種多様な膨大なデータをデータベースに収納して、ビジネスに活用する環境をデータレイク(湖)とよんでいた。
Industrie 4.0流データスペースでは、GAFAMのようなプラットフォーム提供者のもとで、データ共有圏を作るのではなく、分散データベースとしてデータ所有者が主体となってデータ共有圏に参加し、データ主権を保持したまま、共有圏にデータを提供する。プラットフォーマーの囲い込みを排して、データ所有者がどのように他者にデータを提供するか決定できるという点で、欧州流のデータスペースのほうが、GAFAMのようなプラットフォームベースより望ましいが、それを可能とするためには、データ交換のしくみ、決済とマネタイズのしくみなどを標準化して、共有を可能としなければならない。
ドイツではすでにアセット管理シェルを開発し(マネタイズの機能までは現在はない)、社会実装にすすもうとしているが、現在IECにおいてデータスペースについて国際標準が作られようとしており、わが国ではロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)が、国内パートナーの事務局として活動している。
さて、どんな国際標準ができあがるのかは、これからの話であるが、現状ドイツに一日どころか数年の長があり、日本でもアセット管理シェルを動かしてユースケースを試して見るなどの活動が当然必要だろう(一部実施済みでRRIからの報告もある。)弊社オントロノミーとしては当面アセット管理シェルにあるRDF記述などを精査して、その内容を皆さんに報告したい。日本語化などもするつもりです。