Allegro Graph はAI新時代のプラットフォームになれるのか?

AllegroGraph V8 の実力は?

このサイトでもこれまで一部紹介してきた AllegroGraph の新しいバージョンが Franz 社よりアナウンスされた。それによると Neuro-Symbolic AI Platform という触れ込みで、次のように述べられている。

本日我々は、画期的な Neuro-Symbolic AI Platform、AllegroGraph 8.0 をリリースしました。これは、大規模言語モデル(LLM)コンポーネントを SPARQL に直接組み込み、ベクトル生成とベクトルストレージを備えた包括的なAIナレッジグラフ・ソリューションです。AllegroGraph 8.0は、ナレッジグラフの作成方法を再定義し、市場で最も安全なトリプルストア・データベースでAIが達成できることの限界を広げます。

https://allegrograph.com/new-allegrograph-v8-neuro-symbolic-ai-platform/

知識グラフに関心のない人にはわかってもらえないと思うが、ChatGPT の出現は、一般のみならず、それまでのAI研究者にとってもショッキングなできごとであり、オントロジー研究者やセマンティックウェブ研究者にとってもそれは同様であって、これにどう対処したらよいかが大問題となっていた。特に知識グラフ界隈では、ディープラーニングをいわゆるxAI(説明可能AI)にして、LLMに嘘を言わせないようにするには、知識グラフを利用するしかない、というのがこの1年ほどで急速にコンセンサスになりつつあり、LLMと知識グラフをどう融合したらよいかが新しいチャレンジとして、全世界的に明らかになってきたのである。

そこにこのようなアナウンスである。AllegroGraph がLLM+知識グラフのAI新時代のプラットフォームとなれるのかどうか、出てきたところでありまだそれだけの成果はないとしても、みんながよってたかって取り組むだけの潜在的なパワーがあるものなのかどうかが問題である。

したがって、このサイトでもここでこれまでの記事内容を仕切りなおして、「Allegro Graph はAI新時代のプラットフォームになりえるのか」という観点から、新しく書き進めていきたい。

一般の ChatGPT 利用者には、企業のプロンプトエンジニアも含めて、あまり興味はないだろうが、特に知識グラフ界隈の研究者には是非共同してLLM+知識グラフの探索研究をしてほしいと思う。そのためのいくつかの前提となる基礎的事項を以下に記述する。

  • AllegroGraph にはFreeバージョンとDeveloper版(50万円)とEnterprise版(多分100万円前後)があるが、違いは収納できるトリプルの量だけであって、ダウンロード方法も共通である。
  • Free版は五百万トリプルまで、Developer版は五千万トリプルまで、Enterprise版は無制限
  • いずれもLinux64bit上で稼働する。
  • Free版では手順に従ってインストールすればよい。Developer版とEnterprise版ではFranz社からLicenseCodeを購入して、それをコンフィグファイルにかきこむ。

Franz 社がセマンティックウェブに進出するきっかけを作った私としては、日本で AllegroGraph 利用者はそれほど多くないのが残念であったが、これを機会に多くの研究者、開発者が AllegroGraph に親しんでもらえればうれしい。